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注目の栄養素:セレン①

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長期経腸栄養管理で“欠乏”しがちな超微量元素 セレン

長期の経腸栄養管理で、セレンは足りていますか?

長期経腸栄養管理時のセレン欠乏症の対策と予防

●セレン欠乏症への対策は、水(ミネラルを含む)の補給や亜セレン酸ナトリウムによるセレン補充療法を行います。

●経腸栄養管理時のセレン欠乏予防として、当初よりセレンを含有する経腸栄養剤を使用する、または切り替える方法があります。

ヒトに必須な“超”微量元素

*超微量元素:ヒト体重1kg当たり1mg濃度以下で存在する元素

超微量元素セレンは、生命の維持になくてはならない、抗酸化酵素の合成に必要とされる元素として必須微量元素に分類されます。セレンは体内に吸収されるとタンパク質に取り込まれ、セレン含有酵素のグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素として、また、甲状腺ホルモンの代謝に必要な脱ヨード化酵素の構成成分などとして働きます。

安全なセレン摂取量

●医原性セレン欠乏症 -長期栄養管理下のセレン欠乏症-

セレン欠乏症として代表的な風土病:克山病(推定平均摂取量12μg/日)にみられるような心筋障害が知られています。一方、医原性として、長期栄養管理下のセレン欠乏症が報告されています。完全静脈栄養(10日間以上)において血中セレン濃度の低下(9μg/L)が下肢の筋肉痛、皮膚の乾燥・薄片化および心筋障害による死亡例を認めたというニュージーランドの報告、そして、本邦でも長期経腸栄養管理下におけるセレン欠乏症が報告され、長期経腸栄養管理時におけるセレン摂取の必要を示唆しています。

本邦の長期経腸栄養管理下におけるセレン欠乏症の報告

そして、2000年には厚生省(現厚生労働省)「医薬品の使用上の注意の改訂について」において、すべての経腸栄養剤の重要な基本的注意に「長期投与中のセレン欠乏症(心機能の低下、爪白色変化、筋力低下等)があらわれたとの報告がある。」が追記され、長期使用時におけるセレンの欠乏症に関する注意喚起がなされました。

●セレン欠乏・過剰摂取時の症状

以上のように、セレン欠乏時の症状には不整脈、心筋症、免疫能低下、筋肉痛、筋力低下、発がん性、爪の白色変化が報告されています。一方、セレン過剰摂取の症状としては、神経症状、胃腸障害、成長障害、爪の変色と脱落、脱毛などが誘発されます。

●血性セレンの測定

2014年3月現在、血清セレン測定の検体検査実施料は保険適用ではありませんが、臨床検査機関などでは測定項目として確立されています。

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